2011年8月31日水曜日

PARC Audio DCU-T111S

夏休みの工作には遅くなったけれど、スピーカーシステムを作ろうという事で、PARC Audioのソフトドーム・ツィーター、DCU-T111Sを4本入手しました。振動板は、ごく薄いポリエステルという事ですが、割合と広帯域で使いやすそうなユニットです。


2011年5月2日月曜日

B&W Nautilus 805のスピーカースタンド


B&WのNautilus 805というスピーカーは、ずいぶん評価の高いスピーカーのようです。手元にあるのはもはや2代前となるオリジナルモデルです。このスピーカーをそれなりに鳴らすには、スタンドは必須です。しばらくいい加減な台に載せていたのですが、やはり高さが合っていて、しっかりした、それほど見栄えの悪くない台が欲しくなりました。専用のスタンドは何種類か出ていますが、結構なお値段のようだし、純正のスタンドは金属製なのが今ひとつ好みに合いません。という訳で、例によって合板で作る事にしました。

素材はシナ合板、割高ですが、30mmの合板を使いました(15mmの合板を張り合わせた方が割安ですが、ぴったり合わせるのが面倒なので)。底板は250mm×350mm、天板は200m×250mm、支柱は100mm×600mmの板を3枚張り合わせて90mm×100mm×600mmの柱としています。東急ハンズで910mm×910mm×30mmの定尺の半分カットの合板から、以下のように切り出してもらいました。


仕上げは、オークのポアステインで着色してから、つや消しクリアーのウレタンニスを重ね塗りしました。底板、天板、支柱それぞれを仕上げてから、タッピングビスを用いて組み立てました。

音が良くなったかどうかはともかく、適正な高さなので音場は良くなりましたし、外見もまずまずです。

2011年2月13日日曜日

Douglas Self: "Small Signal Audio Design"(続き)

この本の目的は、Hi-Fiオーディオではプリアンプの設計、プロ・オーディオではミキシング・コンソールの設計にあるようですが、日本語で読める普通のオーディオの本とは、全く違った印象を受けます。単純に見える多くの事柄、例えばボリュームの調節、が、極めて解決の難しい問題であることが説明されます。バランス接続の優位性について説明されているのはもちろんなのですが、なぜバランス接続がアンバランス接続よりノイジーか、それはどのようにして最小限にすることが出来るか、という事が論じられます。

日本のオーディオの本とは、ほとんど対照的に見えますが、読んでみると極めて正統的な議論です。カップリングコンデンサーとして電解コンデンサーを用いる事についての議論は、その典型です。部品のブランドによる「音の良さ」を(客観的基準のない)主観批評で論じているオーディオ雑誌等の主流の議論に対して、「歪みを減らすには、電極間に信号電圧が発生しないように、十分に容量を大きくする事である」という議論は、驚くほど明快で説得力があります。

なぜこれほど違うのか、と考えると、ひとつには、彼の本は「読者のレベルを想定していない」という事があるように思われます。いまの日本のオーディオの本、雑誌等を読むと、「読者のレベルがこの位だから、こういう風に説明してあげましょう」という雰囲気があります(昔は違ったような気がします)。では、もっと高いレベルの技術がその先にあるのか、と言うと、「ウェスタンの球を使うともっと音がいいけど、初心者だからこの位の値段の部品ね」という話だったりします。もちろん、初心者が配線しようと、ウェスタンの抵抗を使おうと、ジョンソン雑音は同様に発生しますし、「読者に合わせて書く」というのは、技術的な記事としては夢がない気がします。想定している技術レベルの目標が低いのかも知れません。だから、ありきたりなオーディオの本を読むと、「こんなふうに作れば十分なのか、大した事ないな、(部品に注ぎ込む)金次第なのかな」という印象を受けるのに対して、Self氏の本を読むと、類書に比べて遙かに多くの事が書かれているのに、「まだまだ先がある、どういう改良をすることが出来るのだろう、(試作をしたり、測定したり)もっと調べる必要がある」という読後感を持ちます。自分が設計をしていく上で必要となった事柄を、そのまま書いている、というふうにも見えます。

何はともあれ、とても楽しめる本です。文章も読みやすく、(イギリス人らしく)ユーモラスな部分が少なくありません。理論的な話もあるのですが、主体は具体的な回路設計、測定値の話です。たくさんの回路や測定値のグラフが出て来るので、読んでいて飽きません。プリアンプというのは、あまりリソースを必要としない(つまり、お金が掛からない)機械なので、いろいろ試してみるのに好適な気がします。機能を欲張らなければ、部品代1〜2万円で、かなり高性能なプリアンプが作れるはずです。少し、プリアンプを作ってみたくなってきました。

2011年2月11日金曜日

ラックスMQ60と Luxman MQ-88u

ラックスマンから、MQ-88uというパワーアンプが発売になる、という記事を読みました。MQ60を「デザインモチーフに置いた」という事で、確かに、よく似たデザインです。また、KT-88の三極管接続というのも、50C-A10の代替としては理に適っている感じもします。でも、ちょっと考えさせられる所があります。

振り返ってみて、「日本の真空管パワーアンプの最盛期を代表するモデルを挙げろ」と言われたら、私はラックスのMQ60を挙げたいと思います。(ラックスMQ36やテクニクス30Aを挙げる向きもあろうと思いますが、真空管OTLはちょっと特殊な感じがします。)MQ60は、長い期間にわたって、キット形式のKMQ60と共に人気のあるモデルでしたし、未だに愛用している人も少なくないのではないかと思います。なぜMQ60はそれほど特別なのか、というのは、無意味ではない問のように思われます。

MQ60を特別なものとしている要素、僕の中ではMarantz 8BやMcIntosh MC240に対抗できるほどの強い印象を得ている理由は、次のふたつにあると思います:

1. 50C-A10という傍熱型三極管を出力管に用いていること。日本のオーディオの世界では、「三極管信仰」と言ってもおかしくないほどに、2A3を代表とする三極出力管に対する人気が高かったようです。欧米では、「近代出力管」とはビーム四極管(あるいは五極管)の事で、近代的(傍熱型)三極出力管というのは、ついに作られなかったようですが、日本独自の出力管として、6G-A4, 6R-A8, 6C-A10, 50C-A10, 8045Gなどが開発されました。その中でも、50C-A10は、(現在から見ると)手頃な許容プレート損失と低いプレート抵抗を持ち、高級オーディオアンプの出力管として、優れた設計であったようです。(余談ですが、50C-A10は内部で三極管接続された四極管です。)善かれ悪しかれ、日本独自の傍熱型三極出力管を用いている点が、MQ60を真空管パワーアンプの歴史の中で独自のものにしている要素である事は間違いないと思います。他には、(一部では名機とされている)プリメインアンプSQ-38Fも50C-A10を用いています。このような指向は、実は、比較的少ない負帰還で必要充分なダンピング・ファクターを得る、という現代の真空管アンプに通じるものがあり、あまり古さを感じさせません。(回路設計や部品の選択には、時代を感じさせる部分もあるのですが。)

2. シャーシデザインの秀逸さ。これは、もしかしたら定評なのかも知れませんが、優れたデザインの多いこの時期のラックスのアンプの中でも、MQ60は出色の完成度を誇るデザインであると私は思います。個々の部品のデザインが既に突き詰められており、それを美しく配置して構成的な美を演出する、という点で、優れて近代デザインの理念に沿ったデザインであると思います。ラックスは、もともと高級部品メーカーである、という歴史も反映されているのでしょう。特に、OY-15型の出力トランス、OY-14型のチョークコイル、伏型の電源トランスのそれぞれの美しさ、デリケートな配置は、本当に感心させられます。MarantzやMcIntoshの、四角の箱を一列に並べてニートにまとめたデザインよりも、はるかに高度なものであると思います。

全体としては、左右対称に近いシャーシのデザインですが、かなり微妙なバランスの上に成り立っています。それは、MQ-88uのデザインが、よく似た配置ながら全く違う印象を与える事で、かえって良く理解できます。出力管を前面に出してデザインの中心としている訳ですが、2本の出力管の間隔は、熱設計としては明らかに狭すぎます。 MQ-88uでは、(KT-88の管径が大きい事もあるとは思うのですが)より常識的に出力管同士の間隔を広げており、そのためにMQ60の繊細な印象が失われています。また、MQ60では初段管が電源トランスに接して配置されており、雑音の点で不安を感じる部分もあるのですが、デザイン上は「これしか無い」と思わせる説得力があります。ここも、MQ-88uでは、より常識的な配置に変更されています。

このように、MQ60のデザインは、決して技術的な必然で決まったものではなく、デザイン上の強い「意志」によって作られたのものであるように思います。現在の製品で、このような強い意志、拘りを感じさせるのは、Appleの製品です。この時期のラックスのアンプのデザインには、Steve JobsのAppleに通じる、強いパーソナリティが感じられるのです。SQ-38Fや、ラックスキットのA3500にも、同様のデザイン上の強固さを感じます。 多分、このような強い個性というのは、歴史の中に例外的に表れ、模倣しようとしても模倣できないものなのかも知れません。

MQ-88uも、たぶん良いアンプなのでしょうけれど、デザインに突き抜けたものが感じられないのが、ちょっと残念です。アマチュアなら、50C-A10の代替にKT-88を用いるのも良いのですが、メーカーが復刻を目指しているのならば、どうにかして(中国のFullMusic等での)50C-A10の再生産を手配して欲しかった所ですし、少なくとも、デザインを考慮して直管型の6550等を用いて欲しかったです。(KT-88のブランドイメージも販売上は重要なのかも知れませんし、技術的な理由でJJのKT-88を選択したのかも知れませんが。)

趣味としての真空管アンプには、いろいろな方向性があると思うのですが、MQ60の様な、デザイン的に突き詰めた完成度を目指す方向性も(高い目標ですが)あるかも知れません。

2011年2月1日火曜日

Douglas Self: "Small Signal Audio Design"

オーディオの本を、何冊か入手しました。Amazon.comに注文したところ、大判の辞書の様な本がどさっと届いて、ちょっと驚きました。その内の一冊が、Douglas Selfの書いた、"Small Signal Audio Design"という本です。


Self氏の書く本は、どれもデータに基づいて、rigorousに(ゴリゴリと)回路を解析していて、とても読み応えがあります。単に読み物としても(こういう事に興味があれば)楽しめます。

まだ読んでいる途中なのですが、面白いと思った事をいくつかメモしてみます。

この本では、低レベルのオーディオ回路についての、実践的な解析をしていて、低歪み、低雑音を追求しているのですが、その目標は、(もちろん「良い音」ではなくて)信号源の内部抵抗から発生するジョンソン・ノイズによる限界のようです。歪みについては、もちろんゼロを目指す訳ですが、現実的には、現在入手できる最良のOpアンプで実現できる値、0.0005%辺りを目処にしているようです。(驚くべき事に、この値は、現在100円程度で入手できる5532での値です。)それには、優れた測定器が不可欠で、彼は(AP1に始まる何代かの)Audio Precisionの測定器を用いています。彼の本とAudio Precisionの測定器は、不可分な印象を受けます。Audio Precisionの測定器は、最近のハイエンド・オーディオの価格を考えれば個人でも買える範囲かも知れませんが、普通の人は買わない値段のものです(小型の自動車と同じくらい・・・)。もちろん、Self氏はプロなのですが。

第2章では、受動素子についての説明をしています。抵抗については、金属薄膜抵抗か巻き線抵抗以外は、性能的に考えられない、という事を、実際に表面実装の厚膜抵抗の測定を交えて説明しています。カーボン抵抗や酸化金属皮膜抵抗は歪む、測定可能なレベルで歪むのです。データとしては知っていても、実際に測定値で示されると納得してしまいます。

第2章の後半は、オーディオマニアの大好きな話題、コンデンサーについての話です。 ここでの結論は簡単で、C0Gのセラミック、スチロール(ポリスチレン)、ポリプロピレンのコンデンサーは歪まない、ポリエステルのコンデンサーは測定可能なレベルで歪む、電解コンデンサーは大幅に歪む、という事の様です。(強誘電性のセラミックについては言及されていませんが、明らかに論外でしょう。マイカは、やはり高価すぎて現実的でないのだと思います。最近表面実装で増えているPPSについての測定も、残念ながらありません。)

一方、では電解コンデンサーは駄目かと言うと、 「信号電圧が(コンデンサーの端子間に)掛からない」用途では問題ない、という事を主張しています。つまり、デカップリング、カップリング用途には、容量を十分大きく取れば、信号帯域ではコンデンサーの両端に信号電圧が掛からない、したがって歪みは発生しないので問題ない、と主張しています。この「容量を十分大きく取れば」と言うのがポイントで、帯域幅から決まる常識的な値より、かなり大きく取る必要があり、そうでないと実際に測定可能な歪みが発生する事を、実証的に検討しています(素晴らしい)。また、これらの測定値には、コンデンサーのブランドや耐圧はほとんど(あるいは全く)無関係である事も指摘しています。ブランドはともかく、耐圧も性能にほとんど関係しない、というのは、ちょっと驚きました(彼も意外だと書いています)。

何れにせよ、電解コンデンサーは時定数が関わる部分には使うべきではなく、C0Gセラミックかポリプロピレンを使うべきだ、という事のようです。すると、スピーカーのネットワークに電解コンデンサーは使えない訳で、使うとすれば、歪みを許す、あるいは歪みを「味付け」として好む、という事になるのかも知れません。

第4章ではOPアンプについての解析をしています。これについては、彼のウェブページにもありますし、それほど目新しい事はなかったのですが、比較的新しいオーディオ用OPアンプであるLM4562の測定が載っていて、興味深く読みました。全般に、(これも彼のこれまでの著作を知っていれば目新しくはないのですが)コモンモードの入力による歪みに注目し、無視できない事、品種によって大幅に異なる事を指摘しています。

第4章の結論は、これも簡単で、いまだに5532/5534は最高のオーディオ用OPアンプである、という事のようです。LM4562は、使い様によってはより低雑音、低歪みだが、電流雑音が多め。AD797は、(よく知られているように)ハイスピード、低雑音だが、その真価を発揮するには信号源インピーダンスが低い事が必須であり、また高価。FET入力のOPアンプとしては、安価なTL072よりは、OPA2134は確かに高性能で、サーボ回路に適している。OPA627は(FET入力のOPアンプとしては)確かに高性能(5532に匹敵する)だが、極めて高価(それでも、実用上も5534の方が低雑音らしい)。OPA627について注目すべき事は、コモンモード入力による歪みの増大が少ない、と言う点のようで、興味深いものがあります。他の「オーディオ用」とされているOPアンプや、高精度OPアンプ(のオーディオへの応用)については、かなり批判的です。

後の方の章を拾い読みした中では、MMフォノイコライザーの入力負荷抵抗(標準的には47kΩ)のジョンソン・ノイズが無視できないので、それを低減する回路、というのには唸ってしまいました(Self氏のオリジナルではないようですが)。

Self氏の本を読んでいると、なんとなく武末数馬氏の文章を思い出します。きっと、同じように頑固なエンジニアなのでしょう。現在の日本の人では、黒田徹氏が、雰囲気がちょっと近い感じもします。

2011年1月10日月曜日

リンク集

オーディオ関係のリンク集を、静的ページとして作ってみました。右側のコラムにあります。順次、増やして行く予定です。かなり偏っていますが。

2011年1月8日土曜日

6G-A4のシングル・アンプ

20年以上前(多分25年前くらい?)に作った、6G-A4のシングル・アンプを実家から掘り出してきて、電源を入れてみました。20年以上の年月は無かったかのように、なんという事もなく音が出ました。真空管アンプは丈夫なものです。12AU7, 6G-A4で無帰還という、ゲインが低くてシンプルな構成のアンプです。


未だ目が覚めていない様な音を出していますが、昔と変わらず、静かなアンプです。少なくとも、TDA7491などのD級アンプよりは、丁寧に作った真空管アンプの方が、静かな様に思われます。些細なノイズが気になるのは近接視聴の時だけでしょうが、出力にトランスのある真空管アンプは、なんとなく安心感があります。

ボリュームは、アルプスのミニ・ディテントですが、古いアンプで有り勝ちなガリは出ていません。当時の部品は、かなりしっかりしていたのかも知れません。もちろん、ほとんどの部品が国産です。(当時は中国製の部品は殆ど出回っていませんでしたし、欧米製の部品は高価でした。)ツマミはアルミ板が取れて無くなっており、少し見苦しいので、使うなら取り替える必要はあります。